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【Contents】Illustrated By Fat Smith 

VOL.02/2006 SPRING
ピクチャ 1




VOL.3/2006 SUMMER
ピクチャ 2




VOL.04/2006 WINTER
grego.jpg




VOL.05/2007 SPRING
ピクチャ 3




VOL.06/2007 SUMMER
ピクチャ 4




VOL.07/2007 SUMMER
ピクチャ 5




VOL.09/2008
ピクチャ 7

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スーパーバッド 





 卒業間近に控えたオタク高校生3人組セス、エバンとフォーゲルはもちろん童貞。なんとか卒業までに童貞喪失したいところだけど、チャンスはある日突然訪れる。同級生の女の子からホーム・パーティーに誘われるのだ。ただし「来る時にお酒を買ってきて」と。アメリカでは21才未満は酒を飲むことも、買うことも固く禁じられている。しかし、これを何故かロスト・バージンの絶好のチャンスと思い込んだセスとエバンは快諾、偽造IDを作ったというフォーゲルを巻き込んで、あらゆる手段で酒をゲットしようとするのだが、次から次へと珍事件に巻き込まれていく…。


 タイトルが「スーパーバッド」といっても、ギャングスタ映画やジェームス・ブラウンの伝記映画では全くない。主人公の高校生3人組を演じるのは、役柄通り外見がぱっとしない無名の若手俳優たち。プロットもどこか従来の"性"春ストーリー(特に『アメリカン・パイ』)の臭いがしないでもない。でも、これを典型的な学園コメディと思うなかれ。シナリオが抜群に面白い、なかなかの怪作なのだ。


 この映画を製作したのはジャド・アパトーとセス・ローゲン。聞き馴染みがないだろうが、現在のアメリカのコメディ界で最も注目される2人だ。アパトーは90年代よりジム・キャリーやウィル・ファレル主演映画をプロデューサーとして多数手掛け、2005年には『40歳の童貞男』を監督し大ヒットを飛ばした。ローゲンは若干25才の個性派俳優で、『~童貞男』に脇役として出演し異彩を放った。
 この2人が共同でプロデュースした映画2本が2007年のアメリカで大ヒットとなる。それが『Knocked Up』(日本未公開)と本作。それも並のヒットではない。両者とも興収1億ドル越えで、年間興行成績ベスト20にランクインを果たすという偉業をなした。先に公開されたのが『Knocked Up』(直訳すると「できちゃった」)。イケてないガンジャ・フリークの主人公が美人でキャリアウーマンのヒロインとひょんなことから一夜だけの関係を持ち、そのまま音信不通になるが、3ヶ月後ヒロインの妊娠が発覚するという話。アパトーは監督・脚本し、ローゲンは主人公を演じている。全般的にオフビートなヒューマン・コメディで、巧みな会話が笑いを誘う本作だが、主人公のガンジャ吸引シーンではリー・ペリーやオーガスタス・パブロが使用されるなど、サブカル的こだわりを見せた。


 そして、次に公開されたのが『スーパーバッド』。今度はローゲンが脚本にチャレンジした(脇役としても出演)。主人公の役名がセスなので、恐らくローゲンの青春時代を彷彿させるドタバタ劇だが、最後にはホロリとさせる粋な仕上がりになっている。音楽も相変わらずこだわっており、カーティス・メイフィールド、ジーン・ナイト、バーケイズ、リック・ジェームス、フォートップスなどタイトルに相応しいファンキーな面々から、ザ・ルーツ、ノートリアスBIG、ザ・クープ、ヴァン・ヘレン、セルジオ・メンデスといったセレクションが本編を賑やかす(サントラはLakeshoreから発売中)。


 日本ではたとえアメリカで大ヒットしても、コメディ映画が公開される機会はほとんどない。本作も当初はお蔵入りするかと危惧していたが、この度めでたくDVDリリースとあいなった。これを機に、アパトーとローゲンの新感覚コメディを是非体感してもらいたい。

TEXT BY 映画批評家 デューク松本


原題:SUPERBAD
2007年アメリカ/113分
監督:グレッグ・モットーラ
出演:ジョナ・ヒル、マイケル・セラ、他
DVD発売・販売:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

ルーツタイム 




ラスタファリズムの基礎知識


 久々にジャマイカからホットな映画が届いた。タイトルにあるようにジャマイカのラスタファリアン的側面が背景となっている映画だ。となっては、本作を観賞する前に「ラスタファリズムとは何ぞや」を再確認したい。


 ことの発端はジャマイカ出身の黒人政治家マーカス・ガーベイが1927年にニューヨークのハーレムで演説した「アフリカを見よ。黒人の王が戴冠する時、解放の日は近い」という声明だ。その以前から、近代になっても唯一植民地化されなかったアフリカのエチオピアを魂の故郷とする考えがあり、3年後の1930年に同国にハイレ・セラシエ1世が皇帝に即位したことから、その声明は偉大なる予言、または神の啓示として崇められることになる(1974年のクーデターで事実上最後の皇帝となるが)。これをきっかけに当時イギリス植民地下のジャマイカのキングストンで初期的なラスタファリズムが誕生、社会への不平不満や度重なる自然災害から救いを求める下層階級の人々の間で爆発的に広まり、1934年には暴動にまで発展した。


 その後、政府の弾圧により敬虔な信者は山奥に潜み初期ラスタファリズムは沈静化したが、独立後の1966年にハイレ・セラシエ1世がジャマイカを訪問しその熱が再燃した。時を同じくしてジャマイカ音楽もスカからロックステディに変貌し、ラスタファリズムを反映した歌詞が取り入れだされ、再び世に広く浸透することになる(後にそれがレゲエによって爆発したことは読者なら周知だろう)。なお、当初は「ザイオン(理想郷的なアフリカ、主にエチオピア)回帰」が思想の源だったが、ハイレ・セラシエがジャマイカを訪問した時に「ジャマイカ社会を解放するまではエチオピアへの移住を控えるように」言う内容の私信を主なラスタ指導者に送った。そこで「ザイオン回帰よりバビロン(西洋文明やジャマイカの不平社会、政府といったものの総称)解放」という新しい考えが定着したという。


 現在、敬虔なラスタファリアンは同国の人口の5~10%といわれる。彼らは菜食主義(アイタルフード)やドレッドヘア、ガンジャを聖なるものとし、その指向は生活様式全般に影響している。その教義はユダヤ教が源とされているが、聖典は旧約聖書とし、ラスタファリズム自体は現在なおも成文化されていない。集会ではナイヤビンギを奏で、ひたすらガンジャを吸い、教義を確認し合う。挨拶はもちろん「アイリー」。


 これらを知ってもらった上でこの映画を観てみよう。内容は2人のラスタマンが車でレコードの移動販売をするのだが、レコードはいっこうに売れず、その道中で珍事件ばかりに遭遇する、といったものだ。この作品はジャマイカを舞台にしたロードムービーだが、監督はなんとアルゼンチン人。ジャマイカもラスタも無縁な彼だからこそ、愛くるしいまでも純粋なジャマイカのラスタファリアンの姿を描けたのだろう。演者も現地で起用した素人ばかりで、その自然の言動が笑いを誘う。本作を観て、時間や街の喧騒をを忘れて<ルーツ>な<タイム>をゆるりと楽しんでもらいたい。

映画批評家 デューク松本 


ルーツタイム
2006年 ジャマイカ、アルゼンチン合作
原題:ROOTS TIME/77分
監督:シルベストレ・ハコビ
主演:ルウェリン・サムダ、ウールトン・ハリスン
国内配給:アップリンク

死の標的 -Marked for Death- 




ジャマイカ・ロケのセガール・アクションは
ツッコミどころ満載



 80年代後半から90年代にかけてアメリカ東海岸を中心にジャマイカン・マフィアが暗躍していた。同期に悪名高いクラック(※)が蔓延し、アメリカで社会問題となっていた。それにジャマイカン・マフィアが媒介していたのは想像に易く、その世相を背景に生まれたのが今回紹介する映画。主演は当時マーシャル・アーツ界の人気者スティーブン・セガール。シカゴとキングストンを舞台にセガールの正義の鉄拳が炸裂する! …とはいっても「沈黙の~」シリーズで有名なセガール、何をやらせてもトゥーマッチ、相手を敵と見なすやコテンパンにやっつけるその術やハンパではない。殴る!折る!斬る、KILL!いかんせん10年間も日本で修行した武術をフル活用しスクリーン狭しと縦横無尽に暴れまくる。そして、ジャマイカを舞台のひとつにしながらあまりにもステレオタイプに描かれているジャマイカ人像もあいまって大失笑。そう、この映画は直球で観てはいけない、ツッコミどころ満載のバカ映画なのだ。


 暴れん坊なセガールも冒頭でセンチメンタルな一面を見せる。メキシコでの潜入捜査で同僚を殉職させたことに呵責を感じたセガールは自ら麻薬捜査官の職を辞し故郷の街に帰ってくるのだが、まずすることといえば「教会で懺悔」。平和と思われていた故郷もジャマイカン・マフィアの手が伸び、街頭やクラブでなかば公然とクラックが売買されていても、「どうせ麻薬犯罪はなくならないや」という思いから、見て見ぬ振り。マフィア同士の銃撃戦に居合わせようとも、旧友から「クラックで甥を失った」と告白されようとも徹底的な事なかれ主義を通す。でも、それでセガール映画が終るはずがない。


 ドラマ前半を折り返す頃、ようやく事件が起きる。自らの姪がジャマイカン・マフィアに撃たれるのだ。さすがにこれにはキレたセガール。これを機に復讐の鬼となり、正義の名を借りた破壊と殺人の修羅場を繰り広げるターミネーターと化す。そして、その舞台はシカゴからジャマイカへ。


 ジャマイカといえば気になるのはその描写。ジャマイカ人は一応にドレッド・ヘアというのは解せないが、その会話にはパトアやジャマイカ訛りが聞き取れ、制作者もちょっとは勉強したということか。音楽的には当時流行っていたシャバ・ランクスの「ルーツ&カルチャー」のほか、ジミー・クリフ「ハーダー・ゼイ・カム」など聞けるが、ジャマイカのクラブのシーンではジミー・クリフ自身が登場し、ステージで歌っている。さらにセガールとクリフ、当時相当意気投合したのか、エンドロール曲で競演、なんとセガールもレゲエを歌っているのだ!あと、シカゴ=キングストン間の移動はエア・ジャマイカ、ジャマイカでの捜査のシーンでは当時のキングストンの様子が垣間見ることができる。でも、肝心のジャマイカン・マフィアのボスは極悪非道の権力者で、霊能力すら操るといった無茶な設定。百歩譲っても、ブードゥーはジャマイカじゃなくてハイチだろ!とツッコませる。


 とはいえ、この映画は公開当時全米ナンバー1ヒットを飛ばした。そして、これを機にセガールはアクション・スターの仲間入りを果たした(とはいってもジャン=クロード・バンダム並みだが)。それを考えると、この時代はある種いい時代だったのかも知れない。実際に戦争してるとこんな映画撮ってる場合じゃないからね。


※クラック…主に90年代前半に問題となった、コカインを精製してできる向神経系の麻薬。安価で効果が強く「弱者のコカイン」と言われ蔓延したが、中毒性が強く、使用者を破滅へと導く悪魔の麻薬としても知られた。


Text by デューク松本(映画批評家)


死の標的 DVD発売中
¥1,695(¥1,780税込)
20世紀フォックス ホームエンターテイメント

1990年 アメリカ
配給:20世紀フォックス
監督:ドワイト・リトル 
出演:スティーヴン・セガール、ベイジル・ウォレス、キース・デヴィッド、トム・ライト
94分

ラフン・タフ ~永遠のリディムの創造者たち~ 




スカ~ロックステディ、
ジャマイカ音楽史の源流に迫る



 過去にいくつものレゲエを紹介したドキュメンタリー映画があった。当時のシーンをフィルムに収めたり、特定のアーティストにスポットを当てたり、様々な角度で切り取られてきた。しかし、ジャマイカ音楽史にとってどの作品にも欠落している(もしくは紹介が十分でない)重要な箇所がある。カリプソ~スカ~ロックステディといった、前レゲエ期の記録だ。
 当然といえば当然だ。当時の映像や資料はほとんど保存されてないのだから。しかし、映像を使わなくとも残さなければならない歴史はそこにある。今回紹介する作品は「証言」という形で綴られた貴重なジャマイカ音楽創世記だ。


 物語はグラッドストン・アンダーソンの語り部を中心に語られる(いや、語る)。彼はスカ発生以前の1950年代初頭から活動するピアニストで、スカ~ロックステディ期にはデューク・リード率いるトレジャーアイルに身を置き、一時期スカタライツのメンバーでもあった、まさしくジャマイカ音楽史そのものを見続けてきた貴重な証言者であり、当事者だ。しかし、見た目は好々爺然としたもの静かげなお方。その口から兵隊時代の武勇伝を語る日本のお爺樣方の如く、ジャマイカ音楽史の重要なターニングポイントの様子がひょうひょうと飛び出す。彼曰く「スカ」を誕生させたのは彼とドン・ドラモンドで、「スカ」を命名したのは彼自身だそうだ。「マジかよ」と思っていても、彼がピアノの前に座るとその説得力が一段と強まる。ジャマイカ音楽発生以前にポピュラーだった「ブギウギ」から「スカ」へのリディムの変貌を実演するシーンでは鳥肌を憶えた。


 そして、様々な(伝説的な)アーティストの証言で話はスカからロックステディへ移行する。エピソード中、最も興味が引かれたのはコクソン・ドットとデューク・リードの違い、スタジオ・ワンとトレジャー・アイルの確執とその影響、当時のサウンドシステムとクラッシュについて言及する場面だ。ロックステディ誕生部分ではアルトン・エリスのインタビューが最も説得力を持つ。彼によると自身の「Girl I've got a date」が最初のロックステディ曲だという。しかし、リン・テイト(リン・テイト&ジェッツ)はホープトン・ルイスの「Take it easy」だという。これも客観的な意見で信頼がおける。これらの証言は「正確さ」を追求するものではない。それらの信憑性を検証する術など存在しないのだから。彼らの「生の声」こそが大切なのだ。そして、話はレゲエを超えてDJ登場の衝撃まで及ぶ。言うまでもなくU-ロイについてで、彼自身も当時を語る。


 レゲエの源流を辿る旅に限りはない。本作は何よりも各アーティストやジャマイカのスピリッツを感じるには十二分な作品に仕上がっている。私はもしこの世にタイムマシンがあったら、最も訪れてみたいのが60年代のキングストンだ。その欲求を少し叶えてくれた作品でもあった。また10年後、20年後に観賞したら、より違った感想を持つだろう。レゲエに片足でも突っ込んでいる者は必ず観る必要がある映画だと断言できる。
余談だが、いつの日かジャマイカ版『ドリームガールズ』が出来やしないかと、切に願う。


Text by デューク松本(映画批評家)

ラフン・タフ
~永遠のリディムの創造者たち~
Ruffn' Tuff
/Founders of The Immortal Riddim
2006年日本/82分/音声:英語・パトワ語
ドルビーデジタル/日本語字幕/画面: 16:9ビスタサイズ
制作:「ラフン・タフ」フィルムパートナーズ
DVD販売元:デックスエンタテインメント
定価:3,990円(税込み/特典映像付き)
監督:石井“EC”志津男(オーバーヒート代表、Riddim発行人)
出演:グラッドストン"グラディ"アンダーソン、ストレンジャー・コール、ジョニー・ムーア(スカタライツ)、アルトン・エリス、リン・テイト(リン・テイト&ジェッツ)、リロイ・シブルス(ヘプトーンズ)、ウィンストン・ライリー(テクニークス)、ボブ・アンディ、ジョン・ホルト、ロイド・パークス(ターマイツ)、カールトン・マニング(カールトン&ザ・シューズ)、Uロイ、グレゴリー・アイザックス、イエローマン、ディーン・フレイザー、リタ・マーリー、アンソニー・レッド・ローズ、ボビー"デジタル"ディクソン(デジタルB)、クリーブランド"クリーヴィ"ブラウニー(スティーリー&クリーヴィ)、キング・タビー、他